「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」@女子美術大学(相模原校舎)

女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」手造りや趣味
女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」

母校の美大までドライブしてきました。なんと卒業以来はじめて。

きっかけは、私の学生時代に一番お若かった橋本弘安先生(教授)が平成30年度をもって退職されることになり、その退職記念パーティーには日程的に参加できないので、別の日に橋本先生が開催されるワークショップに参加しようと。橋本先生が日本画の画材の研究の過程で開発された「小さな石から天然岩絵の具作成キット」を使用したワークショップ「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」です。

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女子美術大学を入り口から。駐車場に車を止めて歩き出したときは、「在学中と変わらないなぁ」と思ったのですが、在学時に8号館しかなかった校舎は13号館まであり、さらに「真夏の鉄板焼き」と呼んでいた真っ黒い地面は白くなり、おしゃれな中庭ができていました

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道端の石ころも岩絵具になる?!

ワークショップ「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」は、大学の裏手にある「顔料創造ファクトリー」で行います。

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女子美術大学「顔料創造ファクトリー」 在学中に絵具を作ったことはありましたが、こんな機械がおいてあるような立派な作業場は無かったなぁ…。

この日の参加者はお子さん2人(5歳以上なら参加可能)を含めた16人。岩絵の具作りの説明のほか、絵具や粉体工学に関するお話を聞きながら進みます。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 橋本先生の講義を挟みながら。実際に矢立のように旅先で描かれた、土地の石を使ったスケッチも紹介されました。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 こちらが2005年から橋本先生が開発を進めている岩絵の具を造るキット。今回は一人一つ、お借りします。

関連情報
「小さな石から天然岩絵具作成キット」について
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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 これがラピスラズリ。「え?知っているのと違う!」と友人が言っていましたが、普段アクセサリーショップなどで見ているラピスラズリは研磨されたもの。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 キットには、石を砕くための道具が入っています。定価は3,000円(税別)ですが、女子美術大学や新居浜市立美術館では少し安く購入することができます。

日本画の絵具は、とにかく「粉砕」!ラピスラズリで青い絵具を作る

「なんでも絵具になる」と学生時代には紅茶やケチャップを使ったり、砂を貼り付けたりしていましたが、粉砕さえできれば「なんでも岩絵の具になる」もの。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 まずはきれいな粒を20粒ほど選びます。このラピスラズリの加工屑は新居浜市立美術館より提供いただいているそうです。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 一見、銀色の金剛杵(ヴァジュラ・仏教の宗教具)のように見える、長いナットにラピスラズリを入れ、左右両方からネジで絞めます。すると、ゴリゴリと石が砕ける音が。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 思いっきり絞めたネジを外して、砕けたラピスラズリを出してみます。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 まだまだ粒が大きいようです。岩絵の具は粒子のサイズがそろっていないとなかなか使いにくいので、なるべく細かくしたいところ。

もちろん、この道具では少量ずつしか作れません。学生時代は銅でできていると思われる、巨大な乳鉢とすりこ木のようなものでとにかく力任せに砕いてつくった記憶がありますが、ファクトリー内にはその道具は見えません。代わりによく働いてくれそうな、機械が多数…(ちょっとジェラシー…)。

岩絵の具にはまだまだ粗い!今度はタイルで擦って細かくする

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 表面がざらざらした洗いタイルにラピスラズリを挟んで、ごりごりと擦ります。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 大人も子供も全体重をかけて、ゴリゴリと擦ります。タイルが滑らないための敷物もキットに入っています。ユーザビリティに気を使っているなぁ!と感心。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 かなり細かく見えますが、まだまだ粗いです。もちろん粗い岩絵の具もありますが、粒子サイズを同じにするにはとにかく細かくするしかない!

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 そこで、今度はツルツルとしたタイルで擦ります。今度は親指にぐっと力を入れて、細かく擦っていくと良さそう。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 少なくとも目視ではそこそこ細かくなったように見えます。さらに細かくするのは次の工程で。

薄めの膠(にかわ)で粉砕を進めつつ、絵具として定着するように粒子をコーティング

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 いよいよ岩絵の具完成&色を塗る作業へ。まずは橋本先生の説明を聞きます。子どもたちも真剣。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 岩絵の具に膠を混ぜるときは一般には絵皿の中で指で練るのですが、水分で研磨することで粒子が細かくなるので、ここではまだツルツルタイルを使って膠を擦りつつ混ぜあわせます。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 同じラピスラズリ群から選んでも、同じ作業をしていても、選んだ石や粉砕の度合いで岩絵の具の色はだいぶ違います。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 作ったラピスラズリの岩絵具を使って絵を描いてみました。一色しか使っていませんが、薄め具合や重ね方で濃淡を表現することができます。

岩絵の具は水彩画や油絵の絵具よりも粒子が粗いので、塗り重ねても下の色が見えます。因みに、同じ鉱物から作っていても、岩絵の具の濃淡は粒子サイズで異なります(細かいものほど彩度が落ち、粗いほどビビットになる)。

新居浜市立美術館の更新中のプロジェクト「ぼくたちわたしたちの壁」

今回の岩絵の具作りは、新居浜市立美術館あかがねミュージアムの「ぼくたちわたしたちの壁」プロジェクトの一環になっています(*注)。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 小さな和紙に自分で作った岩絵の具で色を塗ります。裏側は見えないので、願い事なんかを描いたりして…(見えなくなるので、クマのイラストには目をつぶってください・笑)

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 同じようにラピスラズリで作った絵具で塗っているのに、粒子の粗さや塗り方で個性がでます。

これがどのようになるか…は、現在女子美術アートミュージアム(女子美術大学相模原校舎内)で行われている「平成30年度 女子美術大学退職教員記念展」で見ることができます(1月29日まで)。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 現在JAM(女子美術大学アートミュージアム)に展示されている「ぼくたちわたしたちの壁」。さらに個性があることがわかります。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 中央下の私の作品はどこのピースになるのでしょうか?!

*注:美術館の公式サイトなどを見ましたが、細かい案内が無かったため、このプロジェクトのゴールや展示時期などはわかりませんでした。女子美術大学のワークショップの担当者の方にお尋ねしたところ橋本先生に確認いただき、以下のように回答いただきました。「今後、青い壁は新居浜市立美術館でも常設されるくようになると思いますが、『随想本当の色岩絵具のおもしろさ』の菅春二氏の寄稿にあるように今回同様、様々なところで展示されることもあるかと思います。」

簡単に絵具ができました!とは言え、もっと簡単そうなダイヤモンド砥石に興味津々

この「小さな石から天然岩絵の具作成キット」を使えば、どこでもその土地の石を使って岩絵の具が作れてしまうわけですが、正直ちょっと面倒だなぁと。そこで、もう一つの方法として紹介された「ダイヤモンド砥石」に、キラーン(笑)。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 ダイヤモンド砥石を使って孔雀石を粉砕します。あら、結構簡単!膠もこの砥石の上で混ぜてしまいます。

『ダイヤモンド砥石』はネットショップなどで購入することができます(さっそくポチリ)。粗さが色々あるようですが、ワークショップでは#400を使用していました。

SK11 両面ダイヤモンドプレート GOLD #400 #1000 25×100×5mm
●【用途】粗研磨、刃物の刃付けや砥石面直し。【機能・特徴】電着ダイヤモンドにチタンコーティング処理を施しており、切れ味が持続します。コンパクトサイズで取り回しが簡単です。●藤原産業(株)の両面ダイヤプレート GOLDをDCMオンラインでは販売しております。その他大工道具も多数取扱っております。【注意事項】本来の用途以外...
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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 人差し指の爪ほどのサイズの孔雀石から削りだされた緑は鮮やか。ボトルに入っているのは、私が学生時代に作ったラピスラズリの岩絵の具です(使ってない…)。

作業と橋本先生の講義が同時並行していたので、きちんと説明に聞き入ることができなかったのと、ほかの方と真剣に話されていたので帰り際に先生に挨拶ができなかったのが少し残念でしたが、2時間という短い時間で楽しく、岩絵の具と「ぼくたちわたしたちの壁」の一部になるであろう作品作りができました。

今回のワークショップの最大の効果は、「やっぱり日本画描きたいなぁ!」と思うことができたこと。まずはしまい込んである画材がどうなっているのか確認しなければ…。

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女子美術大学「石であそぶ 石を砕いてオリジナル絵の具で作品づくり」 余った絵具で描いたはがき用のフレームをいただきました。「年賀状みたいだよ」って言われたので、来年の年賀状にしようかな…いや、ちょっと寒々しいな(笑)