ある雨の平日、2018年から2年続けてミシュランガイドに掲載されている『小笠原伯爵邸』(Ogasawara Hakushakutei)にランチに行ってきました。
ランチの予約時に『小笠原伯爵邸』の邸宅内見学をお願いできるとのことなので、ランチの後はお屋敷&お庭の散策です。
若松河田駅から歩いてすぐの所に、大使館か何かか?!と思えるような長い塀が続いています。
東京都選定歴史的建造物 小笠原伯爵邸とは
『小笠原伯爵邸』(おがさわらはくしゃくてい)は東京都の選定歴史的建造物に指定されている由緒ある建物です。昭和2年に小笠原家第30代当主の本邸として建てられ、現在ではレストラン、イベントやウェディングスペースとして営業しています。
東京都選定歴史的建造物の選定基準は以下4つだそうです。
- 原則として建築後50年を経過していること
- 東京の景観づくりにおいて重要なものであること
- できるだけ建築当時の状態で保存されていること
- 外観が容易に確認できること
『小笠原伯爵邸』は当時流行であったスパニッシュ様式です。キャノピー(ひさし)には葡萄が実際にパーゴラに絡まっているようなお洒落なデザイン。
スパニッシュ様式の特長は、重厚な石造り、強い日差しを避けるような小さな窓、鉄の格子、そして無機質なクリーム色でしょうか。昨年の夏にスペインを旅行しましたが、現在のスペインの市街地でもこういったお洒落な建物や装飾品を見ることができ、街も建物もインテリアも「スペインはオシャレ」という印象を個人的には持っています。
東京都選定歴史的建造物と東京都指定文化財の違い
ふと、「では、『赤坂プリンス クラッシックハウス』のような東京都指定文化財とはどう違うのか?」と気になり、調べてみました。
- 意匠的又は技術的に優秀なもの
- 歴史的又は学術的価値の高いもの
- 流派的又は地域的特色において顕著なもの
比較している資料の書き方が同じでないので、「あれ?一緒?」という感じもしますが、東京都選定歴史的建造物のほうが街との調和なども含めた景観などを重視しているイメージです。
『小笠原伯爵邸』は正面玄関が門に面していないためか、プライベートな空間を意識しているように感じます。
小笠原伯爵邸のレストランはミシュランの星を獲得するモダンスパニッシュ
まずは13時から予約していた、ランチのフルコースをいただきます。
【ミシュラン】小笠原伯爵邸(Ogasawara Hakushakutei)で最高リッチなランチタイム@東京, 若松河田 - クラフトビールとマイクロブルワリー
ミシュランガイドに2年連続で掲載されている『小笠原伯爵邸』(Ogasawara Hakushakutei)にランチに行ってきました。 高級スペイン料理なんて滅多に食べる機会がありま...
レストランの端にある二人席。このお隣でランチをいただきました。平日は予約に余裕もあるようです。
食後は館内へ。小笠原伯爵邸内見学
のんびりとコーヒーと焼き菓子をいただいたのち、「一休レストラン」で予約した際にお願いしていた、館内ツアーへ参加しました。もう一組3名のお客さまと一緒に5人で案内していただきます。
シガールーム(喫煙室)はイスラム風です。大理石のモザイクの床、星のモチーフのような天井、青、金色のラインなど、トルコやエジプトを思い起させます。
当時は男性の社交場でしたが、現在は喫煙室としてもちろん女性も利用できます。
『シガールーム』に5人のツアー客(笑)が入ったときも、お一人のお客さまがタバコを吸われていました(お邪魔してごめんなさい)。
イスラム建築らしい円形の室内と大理石や照明のデザインは、この空間にいるだけでエキゾチックなムードになります。
応接間の窓には可愛らしいステンドガラスがはまっています。ガラスそのものを活かし、淡い色合いが優しくて可愛らしい(小川三和氏作)
エントランス側から応接室を一望します。家具や照明はヨーロッパから取り寄せ、完全再現しているそうです。天井が高いって、いいね。
当時の伯爵のダイニングルームは現在はレストランとしては使われていません。この大きなテーブルは現存する唯一の家具だそうです。
廊下を歩いていて窓を見つけると覗きたくなります。建物に囲まれたパティオを飾るのは大きなモッコウバラ。恐らく白色でしょうか。GW頃に来るといいかも!
窓そのものも素敵です。スペインなど日差しが強い国の窓は小さめですが、窓そのものの形や鉄の格子の形が影に映ってきれいなんですよね。
恐らくトイレであったのだろう…と思われる小部屋。このランプは小笠原家の表紋(三階菱)が刻んである、唯一現存する照明器具。
2階にある居室の一つ。一番大きな部屋なので主寝室だったのでしょうか。ウェディングが催されると、控室になるそうです。
窓の外には屋上がありますが、残念ながら雨のため出ることができませんでした。屋上の床タイルは当時のもので、オープンに当たりボランティアによって磨き上げられたとか。
一階に戻って正面玄関のアーチ型の扉をじっくり鑑賞。明り取りに描かれている小鳥は、ランチコースの前菜やワインのエチケットに登場します。小笠原伯爵邸は「小鳥の館」の別名を持ちます。
エントランスホールにあるステンドガラス。一瞬、不思議な雰囲気だなと思ったら遠近感があります。シンプルだけど、とても素敵です。当時の写真をもとに復元されたものです。
外側からエントランスをよく見ると、鉄の小鳥の向こうにステンドガラスの鳥たちが見えます。
ティールームでちょっと休憩
邸宅内の見学のあと、建物の一角にあるティールームでハーブティーをいただきました。
ティールームは二部屋で30名弱の小さなものですが、歴史的建造物でお茶を飲むのも、雰囲気に浸れて楽しいです。
小笠原伯爵邸のシンボルであるオリーブの木は樹齢500年を超えるのか!と。雨だけど見ていかないとと、スタッフの方に場所をお聞きして外へ。
小笠原伯爵邸のトイレの一角。トイレですよ!
雨の中、お庭拝見!
樹齢500年のオリーブの木は、「エントランスを出て横にある小道沿いにある」という事でしたが、その小道が水没していたので(笑)一旦道路にでてから、奥にある扉から再びイン。
入ったらいきなりオリーブの木が。何本かあるのですが…全部同じぐらいの大きさなので「樹齢500年」はすべて???
平日であったので、ウェディングは行われていませんでした(雨だし、なくて良かった)。とても素敵な雰囲気のテントです。…って、樹齢500年のオリーブって、あれか!!!
庭に飾られている大きな鳥かご。これも「小鳥の館」ならでは?以前は本当に鳥を飼っていたのでしょうか?
これも小鳥か?!な、鶏の焼き窯。ガーデンパーティーのときは実際に使われるのでしょうか?当時からのものかと思ったら、「小鳥の館」に因んで修復中に新しく作ったものとか。目がお洒落。
シガールームです。外から見ると豪華な焼き物の装飾でとても可愛い雰囲気です。1,600ものパーツがはめられています。青い瓦はスペイン風。
水没していた通路の当たりからお庭を拝見。ああ、本当に雨が降っていなければ…
『小笠原伯爵邸』の邸宅内の見学は、ランチの予約と一緒に受け付けてくれます。年に何回かは邸宅内見学だけの募集もあるようです。次は…晴れているときに是非伺いたいです!
小笠原伯爵邸 - 若松河田/スペイン料理
歴史ある洋館で、モダンスパニッシュを優雅に美味しくいただく。閑静な街並みに囲まれた新宿・河田町。ここに昭和初期、当時の芸術の粋が集結したスパニッシュ様式の邸宅「小笠原伯爵邸」がござ...
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